「沈黙の月」

「沈黙の月 」
貴方が私を愛していたなんて
私は知らず生きていたのですね
白い花が咲く木の下で
優しい月の光りの中で 
口づけをした
 
世界で一番 美しい月見た
貴方を送り 峠の道へ
貴方は月を道連れにして
手を振りながら やがて見えなくなりました
 
貴方は、今は何処にいるのですか
今宵も月に聞いてみま しょう か
沈黙の月よ
あの美しい月は
夢で しょう か
幻しで しょう か
涙が止まらない

作詞 Yoko Maria
 
中国の大地の織り成す情景を思い描いて、作詞されています。
そこに在る情景は原色の強い色彩はありません。
淡い色や淡い光、だから赤い花ではなく、白い花なのです。
題名が月であるなら、そこには恋人達を包む光も優しい月の光であるべきです。
愛されて恋に目覚めた女性には、愛に包まれた新しい世界が生まれました。
その世界では、月ですら、いままでに見たこともないほど美しく見えたのでます。
やがて彼は何かの理由で旅にでる事になりました。
見送る彼女と彼を月が天空から照らしています。
坂を登りはじめた彼の背後に大きな月が現れました。
やがて峠を越え別れて、一人歩いて行く彼を追うように月も遠ざかって行くようにみえました。
彼の姿が見えなくなるまで彼女は涙を流しながら、峠の上で見つめていました。
そして時が流れました。でも、彼からは便り一つありません。
心配で悲しくなった彼女は、月に尋ねるのです。彼は何処に居て何をしているのか。
あの時見たあの美しい月は幻だったのか、しかし、月は沈黙して何も語ってくれません。
今夜も涙に暮れる彼女を優しい月の光が照らすばかりです。