チャイコフスキー記念ロシア国立モスクワ音楽院






はい。ここは、モスクワ音楽院です。ロシアで一番、難しく有名です。ロマノフ王朝から共産主義の時代、数々の素晴らしい有名芸術家を生み出しました。そして、その芸術家たちは、ロシアが変わるひとつの時代の波をつくり上げました。
時代の権力に反抗した芸術家たち、また時代に利用された芸術家たち・・いずれにしましても、みんな音楽に対して強い情熱があり、どの思いも正しかったのではないかと思います。そして、その魂は今でも受け継がれております。
先生は、ここは、モスクワの音楽大学・大学院を卒業した人が来る場所だとおっしゃられております。
自分も、日本の音大で6年・・フィンランドで4年・・計10年間、勉強してから、ここに来ました。

私は毎日のようにレッスンを受けました。
先生は、ここで一番、TOPの教授です。
ですが、コネクションはありません。
先生のレッスンを長年受けてきた人でも、予選で落ちている人います。
ちなみに自分は実力で勝負しています。(^^)

本当に、次から次へと、先生に観てもらいたい生徒が来ます。それは世界中から・・
普通は、毎日のようにレッスンはしてもらえないそうです。これ本当ですよ・・
先生は、この間、北朝鮮にも招かれたそうです。やはり元共産国同士は、仲がいいのですね。

ま、落ちても、この勉強した素晴らしい思い出は残るだろうと・・でも、素晴らしい音楽院だと思います。建物も・・アンティークで・・ここに来ると本当に、純粋に音楽を勉強している気持ちになれます。

もし、私が5歳若かったら・・間違いなく、ここの博士課程に進んだでしょうね。私は、フィンランドで博士号を取ろうと思った時期がありました。
今だから言えますが、フィンランドは、どこからも入る道がなくて・・
おまけにシベリウスアカデミーの声楽だけは、ここ15年、フィンランド人しか入ってない・・
でも、そのおかげで、ヒュンニネン先生の御自宅で毎日のようにレッスンをしていただました。奥様とも仲良くなり、家族くるみのつきあいが出来たのです。

チャンスは、ロシアで自然にめぐって来ました。というか、一番、初めてのレッスンから。
外国人の学費によって、成り立っている音楽院は、私のように本気で勉強したい学生にもチャンスがありました。
でも、その時は、もう、日本でもいろいろな演奏や人間関係の基盤で出来ていて、遅かったの。
なんで、チャンスって、望んだときに来なくて、望んでもないときに、めぐってくるのかしら・・

ただ、演奏家は学歴でない。自分は論文を書いて卒業しましたが、舞台上で、御客さんから必要とされる演奏をすることとはそれは別の感性や心が必要です。
どんなに、理論的、演奏解釈、作曲家のこと、言葉のことを理解していても、お客さんに魂や心を伝える情熱がなければ、客席に伝わりません。それはプロフィール上だけの経歴だけになります。むなしいです。芸術は、お客様にその心を伝えることが出来て価値があると思っています。

ジェラシーをしたら、人間の成長は止まると思っています。
なぜ、ジェラシーをするのかというと、自分の方が苦労していて、本当は自分の方が上。だと思っているから。
だけど、それは人間の怠慢です。
人には見えない苦労や努力がある。誰にも言えない苦労がある・・

それを、いとも簡単に手に掴んだように見えても、それは、その前とその裏でとてつもない努力がある。

この音楽院の練習室で練習するたびに、このピアノは、あの有名なピアニストも弾いたピアノなのかな・・図書館の古い楽譜を見るたびに、この楽譜は、あの有名オペラ歌手もコピーしたのかな・・と思うととても幸せです。