残影

「人間は、枯れた時、初めて、本当に1人の人を愛するようになる。」と・・

それまでは、人間は、欲深かったりします。

最初と最後、精神愛が試される瞬間なんだと思います。


この世において、

親と子として出会う人もいれば・・

同級性として出会う人もいれば・・

ライバルとして出会う人もいれば・・

恋人として出会う人もいれば・・

ピアニストとして出会う人もいれば・・

先生として出会う人もいれば・・


そして、出会う場所は

旅先で出会う人もいれば・・

学校で出会う人もいる・・

海外で出会う人もいる・・

人目のつかない裏の世界でしか出会えない人もいます。

そして、何かを捨てないと、何か新しいものは得られないそうです。

本当かな・・

そして、また役割が出てくれば、自然に出てくるそうです。


ただ、出会いの設定というのは、いずれにしても、途中からその設定を変えることはできないのだと思います。

それは、親が友達にならないように、恋人が子供にならないように・・

天は、出会う場所と設定と背景を選んでくださいました。

それを、途中から無理やり、変えようとするとおかしくなる場合が多いらしいです。
演奏がそうですが、絶好調の時があります。
その時は、全てのことを成し遂げる力や叡智があります。

私にとって、

永遠の先生・・だわ。と思うことがあります。
それは、どこまで行っても、死ぬまで、この人は私の音楽の先生だろうと・・

尊敬がやまない先生・・
先生と弟子の関係は永遠に切れないだろうと思うこと。
技術の伝授・歴史を声楽の技術を受け継いていきます。

永遠の国・・これから死ぬまで、おつきあいをしていく国だろうと思う国。


枯れる・・ということを、よく、考えました。
もし、私が、声が出なくなってしまったら・・そこで、お客さんと歌手の関係は切れます。それは、歌手にとって死を意味することです。

そして、非日常の狂気乱舞の舞台上より、もっと、普通の人間らしい生活を大切にしようと思うようになります。

そこには、アーティストとファンの思い出がありますが、
それをひきずれながら、人間として、出来る事と出来ない事を選別していく以外ないと思うのです。

全ての関係は絶好調の時があり、それが過ぎ去れば、今度は、客観的な大きな海の中に放り出されます。

ただ、思うことが、

縁のあるものは続きますし、縁のないものは何があっても続きません。

私は、一瞬、フィンランド歌曲から離れてしまいましたが、一生、関係のある国だと思いますし、いつか、戻る音楽・・私の心のふるさとでもあります。

大きな黒い暗闇の次には、光が見えます。
昼の次には、夜が来ます。そして、また朝が来ます。

あの素晴らしい瞬間には、戻れないかもしれないけど、美しい音楽、美しい姿は、私の心の中に残っています。

「残影」です。